2010年 経 正 第20回春秋画壇展

「燈火を背けては。燈火を背けては。共に憐れむ深夜の月をも。手にとるや帝釈修羅の。戦いは火を散らして。シンニの猛火は雨となって。(中略)身を焼く苦患。恥ずかしや。(中略)あの燈火を消さんとて。その身は愚人。夏の虫の。火を消さんと飛び入りて。嵐と共に。燈火を吹き消して暗まぎれより。魄霊の影は失せにけり。」

謡曲「経正」(つねまさ)の終わりのところです。京都仁和寺の山門をバックに描きました。

琵琶の名手であった平家の公達 経正の霊は仁和寺に現れます。

子供のころ読んだ手塚治虫のマンガ「罪と罰」に、ラスコールニコフが金貸しの婆さんを殺害せんとするとき、蛾がランプの燈火に飛び込むのを目の当たりにする場面があったのを思い出し、そのイメージで描きました。

今見ると、もう少し陰影のボカシが上手に描けてたらなと思います。